環境問題を様々な角度から追うジャーナリズムを検討するが、一方で社会理論的なジャーナリズムの位置づけを、また他方で取材方法から編集方法までの実践的な問題まで論じる。できるだけ多くのジャーナリズムの実例を知り、環境ジャーナリズムの可能性を明らかにしたい。
前期の授業では、環境問題を人間社会の問題としてとらえる立場から、過去から現在までの文芸作品、報道記事などを広く概観する。そのなかの、いくつかの典型例について、そのジャーナリズムの社会観、人間観、政治的立場を吟味する。また、それぞれの作品あるいは記事が、どのような認識の枠組みで取り上げられたかを議論し、ジャーナリズムの「学際性」と、ジャーナリズムに求められる多分野への探求心について言及する。
後期の環境ジャーナリズム II では、調査技法、取材技法、編集技法などについての講義に加え、学生諸君には調査取材、記事文案づくり、編集、発信(ニュースレター、ホームページ等)の小さな実践が義務づけられる。その作業のなかでとらえられる取材者自身の問題意識の変化や実務的課題の明確化などが、授業のなかへとフィードバックされる。